郵政民営化をおさらいしてみる2005年09月01日 10時50分41秒

以下、引用の強調はおいらによるもの。

③ 郵便局ネットワーク会社は民営化により、新しい業務を行うことができるようになるとされていますが、では、何ができるのでしょうか。
政府の説明によれば、24000局の内、普通局1300局(全体の5パーセント強の郵便局)において、コンビニができるという説明になります。
 しかしコンビニは、全国的に見て既に飽和状態であり、またひとつのチェーン店として成り立っていくためには、膨大なノウハウと新規投資が必要になります。また、政府は郵便局は住宅リフォームをすると説明しています。郵便局が住宅リフォームを行う?と皆様方は不思議に思われるでしょうが、政府はこの住宅リフォーム業務でも利益を上げられると言います。本当にそんなことができるのでしょうか。国民は、郵便局に住宅リフォーム業務をやって欲しいと思っているのでしょうか。
 加えて、政府は郵便事業会社が国際物流に進出すると言っています。しかしこの分野で最先端を走る日本通運の国際物流における利益は50億円程度であり、とても赤字郵便局を賄うことはできません。

4.郵貯、簡保の資金が特殊法人等の無駄遣いをもたらしている、という指摘がありますが、これは、本末転倒の議論です。

① 1990年代以降、郵政民営化の論拠の一つになってきたのはこの点ですが、既に財政投融資制度の改革が行われ、この問題は決着しています
郵貯、簡保で集められた資金は国債や財投債等のマーケットに放出され、そこから資金が流れていきます。特殊法人や政府系金融機関は財投機関債や財投債という形で資金調達をしていますが、すべて元を辿ればマーケットを通じて資金調達がされる仕組みになっています。
郵貯簡保の資金を必ず特殊法人や政府系金融機関に渡さなければならないという義務はもうありません。各機関はそれぞれの経営努力をし、自分の責任で財投機関債というものを発行して資金調達をする仕組みが広がっています。
② 資金の出口に無駄遣いがあるからこそ、小泉内閣は特殊法人改革を成し遂げたのであり、また今後、政府系金融機関の改革にも取り組んでいく考えを表明しています。既に資金の流れは、義務的なものではなく、まだもし無駄遣いがあるというならば、これまでの小泉内閣による特殊法人改革が不十分であったということであり、もっとこれを徹底してやるべきではないでしょうか。

とりあえずこの2点かな。

独立採算性については、政府が無い頭を振り絞って編み出した事業案で理想的に動けばトントン、みたいな話になっていて、そりゃあちと甘いんでないの? ってな指摘が (政府案) 反対派からは上がっているわけだけんども。まぁ郵便局をコンビニ化しちゃえって案は悪くは無いとは思うんだけど (完全なコンビニにはならなくとも、公共料金の支払い拠点、銀行ATM機利用拠点が増えてくれるのはありがたい)、リフォーム屋をやらせようってのは、リフォーム詐欺が流行ってる昨今だけになんだか印象悪いなぁという気がしないでも無かったりするわけだけんども。

まぁ、郵便屋といえば飛脚能力に長けているわけだから、新聞配達か牛乳配達 (デリバリーサービス) 辺りでも兼業すれば? とか思わなくも無かったりするのですが。その辺はまぁ商売なんだからいくらでもやりようはあるだろうとか思うし、やれなきゃそも民営化なんて無理な訳で。それでも回らなけりゃ人減らせと。

気になったのはむしろもう一つの方で、そもそもなんで郵政民営化が必要なの? って辺りの議論がすっぽ抜けちゃった状態で小泉さんにラブコール送っちゃってる方々(主におばちゃん)は多いんではないかと思う。郵政改革なくして構造改革はなしえない、なんて叫んでいるわけだけんども、そもそもじゃあ構造をどう (How) 改革して、それによって何を (What) もたらそうとしているのか、そしてそれが何故 (Why) 必要なのか、って部分は整理しておく必要はあると思う。

郵政民営化の真意は、かつて公社や公団の資金調達の源泉とされてきた郵貯・簡保から、そう簡単に金を引っ張り出せないようにすること (あるいはそういうしくみ自体を潰してしまうこと) にあると言われています (こことか参照)。しかし、上記で引用したような財政投融資制度の改革によってクリアされている問題であるとするならば、いまさら郵政全体を民営化することは、あんまり意味のないことだということになってしまいます。

まぁこの辺についてはもうちょっとジャーナリズムが動いて、財政の実態なんかが暴かれていけば、郵政民営化の意義も見えてくるというものなんでしょうけどね。

こちらはリンクの紹介のみ。おいらも読んでよく勉強しよう。。。