ホワイトカラーエグゼンプション:安倍総理発言の真意は?2007年01月07日 04時20分32秒

  • 残業代ゼロ 首相「少子化対策にも必要」 (朝日新聞)

    安倍首相は5日、一定条件下で会社員の残業代をゼロにする「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入について「日本人は少し働き過ぎじゃないかという感じを持っている方も多いのではないか」と述べ、労働時間短縮につながるとの見方を示した。さらに「(労働時間短縮の結果で増えることになる)家で過ごす時間は、例えば少子化(対策)にとっても必要。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を見直していくべきだ」とも述べ、出生率増加にも役立つという考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

    首相は「家で家族そろって食卓を囲む時間はもっと必要ではないかと思う」と指摘。長く働くほど残業手当がもらえる仕組みを変えれば、労働者が働く時間を弾力的に決められ、結果として家で過ごす時間も増えると解釈しているようだ。

    ただ、連合などはサービス残業を追認するもので過労死が増えるなどとして導入に猛反対している。このため、夏の参院選をにらんで与党内でも慎重論が広がっている。

    しかし、首相は通常国会への法案提出については「経営者の立場、働く側の立場、どういう層を対象にするかについて、もう少し議論を進めていく必要がある」と述べるにとどめた

  • 首相、労働時間規制除外制度に慎重姿勢 (日本経済新聞)
     安倍晋三首相は5日夕、一定条件を満たす会社員を労働時間規制から外す「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」制度に関して「経営者の立場、働く側の立場、あるいはどういう層を対象とするかについてもう少し議論を深めていく必要がある」と述べ、導入に慎重な考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。次期通常国会への関連法案提出についても「色々な観点から党とも議論を深める必要がある」と指摘した

     同制度を巡っては、柳沢伯夫厚生労働相が通常国会への法案提出に意欲を見せている一方、公明党からは慎重論が出ている。首相は政府・与党間の足並みをそろえる必要を強調したものとみられる
  • 労働時間規制は慎重検討  首相、政府・与党で調整 (東京新聞)

    安倍晋三首相は5日夜、労働時間規制を一部撤廃するホワイトカラー・エグゼンプション(適用除外)の導入について「いろいろな観点から、与党と議論を深める必要がある」と述べ、慎重に検討を進める姿勢を示した

    柳沢伯夫厚生労働相が制度導入に向け通常国会への法案提出に意欲を示す一方で、自民党の丹羽雄哉総務会長や公明党の太田昭宏代表らから参院選を意識して慎重論が浮上していることを踏まえ、政府・与党間の調整を十分に行う必要があると判断したとみられる

    首相は、日本人の労働実態について「家族と過ごす時間は少子化対策にとっても必要だ。ワークライフバランス(仕事と生活の調和)も見直していくべきだ。日本人は少し働きすぎではないかと思っている人も多い」と指摘。

    柳沢厚労相は5日の記者会見で「日本のホワイトカラーの生産性を高めるために必要」との認識を示している。

強調はすべて T.MURACHI による。

朝日新聞の記事と、他紙による記事との「距離感の違い」というか、「物事の受け止め方の違い」のようなものがおわかりだろうか。一部では朝日の記事を参照した上での紛糾が巻き起こっているようですが、誤解を招いている可能性が大きいです。安倍総理は、現行の法案に対して慎重姿勢なのか否かで、このニュースに対する解釈は結構違ってくるはずです。

もっとも、少子化対策と絡めて語っちゃうあたりに、安倍総理のおつむの底の浅さが見て取れるのは確かですが (既に家庭を築いているような高給取りがメインターゲットなんじゃないかと子一時間…)。

コメント

_ @DRK ― 2007/01/07 12:29:04

「家にいる時間∝子作り時間」って何気に凄い事言ってるよ。。。
(残業→疲れる→子作りできない、という事を言いたいんだろうケド)

この法案が通ったらますますNEETが増える気もするのだが。労働意欲を削いでどーすんだと子一時間(ry

_ T.MURACHI ― 2007/01/07 21:07:25

一応書いておくと、おいらは「ホワイトカラーエグゼンプション制度」を導入すること自体には、反対ではありませぬ。但し、現状では形骸化している労働基準法の運用改善および強化とのセット、というのが必須要件ではあると思っていますが。

そんなことをすれば国際競争力が低下する、という意見もあるようですが、そもそも残業で働く時間を確保しなけりゃ生産性が上げられないと言う認識自体が国際競争力を低下させる一番の要因なのではないかと。それを嫌う古臭い体質の企業には喜んで海外に逃げていただこうじゃありませんか。そして質の高い労働力を醸成できる企業に入れ替わってもらえばいい。その方がよっぽど、この国は豊かになれる。

少なくとも、ホワイトカラーと呼ばれるはずの仕事が、実質的にはブルーカラー的なルーチンワークに終始している現状は、明らかに異常だ。そして「残業させられる」ことを前提に、「残業代が支払われなくなる」と紛糾することしかできない人々は、本当に哀れだと思う。現状の法案が、企業が労働者を不等に酷使するために利用される懸念があるならば、そうならないようにする為には本来この法律はどうあるべきかが議論されるべきだ。そうでなければ使う暇すらない残業代を受け取りながら不等に会社に拘束され続ける奴隷みたいな待遇に、あなたは甘え続けるのかと問いたくなる。

何にもやることがないのに会社にいなきゃいけない時間がストレスになるという点についても配慮されて然るべき。仕事が無ければ職場に拘束されない権利が保障されれば、それだけでも健やかになれる人間ってのはそれなりにいるんじゃないかと思う。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
おいらがやっている会社の名前をひらがな4文字で。

コメント:

トラックバック

※トラックバックの受付件数を超えているため、この記事にトラックバックを投稿することができません。