職業への貴賎の意識をお持ちでなければ、職業を選択する自由を尊重すべき理由も理解できる筈ですが。2009年01月22日 09時00分39秒

派遣切りされた人を一括りにして批判している方がいらっさるようですが、「仕事を選んでいられる場合じゃないだろう」とおっさられる方に限って、そういう仕事のことを「3K」などと言った蔑称で呼んだりするんですね。

別に「きつい」「汚い」「危険」な仕事を「3K」と呼ぶこと自体を今更批判するつもりはないのですが、この文脈でそういう言い方をされてしまうと、まるでそれらの仕事が食うに困った労働者の最底辺層が已むに已まれず選択する最終手段であるかのように捉えられてしまう訳で、そういった仕事に従事しておられる方々に対して大変失礼な物言いであると指摘せざるを得ません。

自分の人生に誇りを持てるのは、自分で選んだ仕事に誇りを持てるからです。もちろん、その経緯においては、妥協に妥協を重ねた結果であったという方の方が多いのかも分かりませんが (そうそう能力に恵まれる人ばかりではないのでこれはある程度は致し方ないことです)、仕事に従事していく中で、その仕事に、あるいはその仕事をして生きる自分に納得できるようになった時点で、やはりそれも「自分で仕事を選んだ」の内に含まれると考えるべきです。この考え方に異議を唱えたく、「俺は好きで今の仕事をしている訳じゃない!! それでも懸命に生きる俺は自分に誇りを持てている!!」とか言っちゃう人は、無自覚の内に自分が奴隷根性に囚われていることに気付くべきですし、自己の半生をもっとちゃんと直視して考える時間を持った方が良いと思います。

派遣切り等に遭われてこの不況により失職し、生活においても窮地に立たされている方々に対して、「選り好みしている場合じゃない、何でもいいから職に就け」としか言えない状況が既にそこにあるのだとしたら、これはもう人が労働を通じて健康で文化的な生活を送ることが不可能な状況であると判断せざるを得ないので、国は憲法の精神に則り、こうした方々を保護するべく、緊急に福祉を整備しなければなりませんし、雇用創出の手立ても考えなければなりません。そうして彼らに職を選ぶ余裕を与えることによって、不況を利用して労働者を買い叩こうとする悪徳経営がはびこる余地を極力小さくする必要があります。

もっとも、雇用創出、といっても、これは単に国が事業を作ればいいという話ではなくて、現に人的リソースが不足している業種に対して、制度設計の見直しや税制優遇などを通じて担い手が集まりやすくするような政策を尽くすということも含む、というかむしろそっちの方が重要で、例えば箱作ってジジババとガキんちょ押し込めて失業者に介護の仕事を押しつけようなんてのは以ての外なのであります。

実際問題として、職安で紹介される仕事が応募資格が満たなかったり直近の生活を支えられないものであったりするために応募しようにもできなかったりするわけで 、必ずしも 3K だから嫌っているという訳ではない、というかそもそも自動車関連工場の期間工として派遣されていた方々はそれまでの仕事も立派に 3K だったわけですが、そういった事情の有無に係わらず、どんな社会状況であれ、人が仕事を選ぶ権利は尊重されなければなりません。雇用関係を、事実上の隷属関係にしてはならないのです。

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