プログラミングをやりたいのか自己啓発をやりたいのか2014年09月06日 10時25分14秒

前回「極力更新し続けたい」とか書いておきながらいきなり 2週間も空けちゃってるわけですが… もうどうしようもないですね、習慣づかないものは。

最近は Qiita などというプログラミングなどの開発周りの技術ネタしか投稿されないブログっぽいサイト (こういうのも SNS っていうんですかね?) でちょいちょい拾い読みすることが多くなりました。これまで、ソフトウェア技術者が集まりやすそうなサイトというのはいくつかあったと思うのですが、 Qiita みたいな、基本的に技術ネタのみという縛りがあって記事を寄せ合うサイトって、そういえばあんまりなかったなぁ、というか…。通常のブログサイトだと、やっぱりプログラマーであってもプログラミング以外のネタ (単なる日記であったり、一般に報じられているニュースや話題への反応であったり) も投じられていることが多くて、 /.-j なんかも基本はニュースサイトですし、そこで ID 持ってる人の日記も必ずしも技術ネタではないということが多かったので、 Qiita みたいなサイトが今後ますます盛り上がっていくんだとすれば、それはとてもいいことだと思うんですよね。

おいら自信も、今社長ブログの方で書いてる API デザインのネタも、本当は Qiita みたいなサイトで書いてたほうが色々と反響も得られていいのかなぁとか思い始めています (どーせアフィリエイト儲からんし)。そもそもコード引用して載せたりするのに WordPad 全然便利じゃないよね、っていうのもフラストレーションとしてはあったりもするのですが…。

で、先日、クラスの命名のアンチパターンという記事がまあまあ興味深かったので、ストックした上でさらにはてブでブクマしたのですが、後日ブクマページ覗いたら 700以上ものブクマ集めててびっくり、ということがありまして、さすがにクラス命名ぐらいのわかりやすい話だと興味示す人も少なくないんだなぁなどとも思ってみたり。 oop 全般ということで開発言語を選ばない話題ともなるとさすがに耳目も集めるものなんですかね。 ID 生成の話題なんかも結構ブクマ集めてましたし。

その一方で、もう少し専門性の高い話題、例えば特定のプログラミング言語やフレームワークなどの環境を限定する話題であったり、ソフトウェア工学やセキュリティ界隈などの学術的な話題であったり、ハードウェア関連の具体的な話題であったりとなってくると、関心をよせる人の数もどうしても少なくなっていく。それはどうしても仕方のない事で、 IT 関連の技術者を目指すすべての人が、それらのすべての話題を網羅して会得し関心を持ち続けるというのは、到底各人の時間的、体力的、その他あらゆる面でのリソースが追いつきっこないわけですから、それぞれがそれぞれの今与えられている仕事や直面している課題、あるいはもっと純粋な興味の末、なんでもいいのですが、そういった各人の境遇の末に抱く関心の方向が、それぞれみんなバラバラで、その結果としてそれぞれの専門に集まる耳目が少なくなるのは、まあ当然っちゃ当然ですよね、とは思うわけです。

実際の所、何らかの専門性の高い分野自体に、まだまだ踏み込めていないという人も多いと思います。まだ学習し始めたばかりという駆け出しの初心者さん、日々与えられた仕事をただなんとなくこなしているだけのサラリーマンSE、そして、憧れだけで「プログラマーになる」ことを目指してコの業界に飛び込んできちゃった方々とか…。

昨夜、寝る前になんとなーくはてブのホッテントリに、 18 till i die というプレゼン資料が上がっているのを見つけまして、ざっと内容をさらってみたのですが、正直、「ああ、またかぁ…」という感想だったんですね。

このプレゼンは Yoshiori さんという方が、Developers Summit 2014 というイベントに寄せて作られたものだそうで、そもそもこのイベント自体が、ソフトウェア技術者の自己啓発を目的としたイベントだったようです。この方自身は非常に有能な技術者さんなのだと思いますし、この資料自体もイベントの内容に則した、よく出来た発表内容だったのだと思います。

ただ、成功体験に基づいて綴られただけの自己啓発コンテンツを求め合う同業者の慣れ合いイベントを「サミット」などと呼んで盛り上がっていたり、そこで発表された資料を有難がって読んで「これはエモい」とか言って喜んでいる様を見るにつけ、彼らは一体何をしたい人たちなんだろうな、という疑問は沸き上がってくるわけです。

現在、多くの「勉強会」と呼ばれるイベントが、さまざまな専門分野において各地で行われていたりしています。それらも得てして「勉強会」と呼ぶにはあまりにイベントイベントしていて、その場で勉強をするために集まってきているというわけでは必ずしもなく、むしろ同好の士と顔を合わせ、その専門分野について話を聞き、あわよくば会話を交わし合うことで刺激を得、ますますその分野に邁進する力を得ることを目的としている節があります。そういう意味ではこういった「勉強会」イベントも、ある種の自己啓発イベントと言えなくもないのですが、そこで寄せ合う発表内容はあくまで専門技術に特化した内容であり、自分たちの関心の先に発展があることを確認しあう場であるからこそ、そういう力も強め合い、高め合うこともできているんだろうなという納得もあるのです。

言ってみれば、その専門分野に邁進する (あるいはそれによって各人の実際の興味対象や直面する課題の解決を目指す、というのでもいいのですが) という目的が大前提にあって、その目的を遂げるための力を得るために啓発しあう場として機能する、という点で、これらのイベントは役に立っているのだと思うのですね (もちろん、純粋に勉強する気でいらっしゃっている方も少なく無いと思います…)。

その一方で、割と純粋に自己啓発だけやってるイベントに喜んで参加する人たちとか、そういう場で発表された、自己啓発だけで技術的には特に内容のない資料を読んで喜んでいる人たちって、実際の所、自己啓発自体が目的になっちゃっていて、その後の各人の関心事を深めるという活動にまでは、残念ながら至っていない人も多いんじゃないかと危惧してしまいます。

取り越し苦労だといいんですけどね。