精神保健福祉法「32条制度」改定に反対します。2005年07月07日 10時52分24秒

Elysion から聞こえてくる泣き声経由。

詳しくはリンク先をどうぞ。

もちろん、おいらの友人が今これを利用している立場の人だからということで、記事の鎖をつないでみたのですが、おいら的な視点からもちょこっとだけ補足したいことがあります。

先日、企業にとって従業員の心のケアは経営リスクである、とする内容の ITmedia の記事紹介しました。現実的には、そのような認識が浸透している企業というのは日本国内ではまだまだ少なく、精神的疾患のために休職を余儀なくされる就労者にとって一番の心配事は、経済的な支えを失ってしまうことにあります。

企業においては、本来であれば極力精神疾患を患う従業員を出さないで済むような体制作りをまず心がけるべきでしょうが、万が一、それでも重度の精神疾患を患い、仕事が継続できない状態になってしまった従業員に対して、十分な生活基盤が支えられるような保険制度や、復職後の地位の保証、場合によっては消化済み有休日数の一部返還などが求められるべきです。とはいえ、会社ごとに経営体力は当然異なりますし、すべての企業がこれを理解して積極的にこうした制度作りに励んだところで、企業側でサポートできる範囲には当然限界があるでしょう。

第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

この憲法第25条に則るならば、本来、精神疾患を患って仕事を継続できない状態に陥った国民を経済面やその他各方面で支えなければならないのは、まさに国であるはずです。精神保健福祉法「32条制度」は、精神疾患をわずらう患者に対する社会保障の、ほんのひとつの視点に過ぎません。

まったく別の視点から、もっと広い意味での経済的バックアップを保証できるような制度を同時に立ち上げる為の改定であるなら、納得もできるでしょう。うつ病は、今、それを患っている人や、その周囲の家族、交友関係の者、所属する会社、その他各関係者だけの問題ではありません。明日にだって、あなたが患っているかもしれない、おいらだって近い将来患うかもしれない (特に、発展が推進されている IT 業界においては、最も身近に疾患する可能性の高い) 病気です。そうしたときに、その病気を克服し、生き長らえる為に必要な、大切な支えの一つを切り崩してしまうことは、推進する IT 業界、それどころか日本経済全体における発展を、大きく妨げるものとなるでしょう。

人の心のケアが経営リスクであることを、今、最も認識すべきは、永田町にいる議員の皆様方なのかもしれません。