バックラッシュ現象とな。2006年04月03日 10時58分12秒

面白い。出版されたら買って読んでみようかしら。

いくつか部分部分をピックアップしてみる。

■例えば、「第三の道」的な自立支援が一般的になった今日、自立努力や参加意欲を示さないまま行政的に支援されるように見える人々に対し、2ちゃんねるなどの場で「テメエが弱者かよ」と噴き上がるケースが目立ちます。そういう大衆的な心性が、「第三の道」を通り越して、ネオリベ的な再配分否定図式を翼賛しています。噴き上がる連中には弱者が多いですから、自分の首を絞めていることになります。実に皮肉な事態です。

キーワード: ニート、引きこもり、障害者 (自立支援法)、在日

↑これらの中で「これは違うんじゃないの?」と思ってしまうものがあるんだとすれば、それはまさに背景としての「不安」に飲み込まれちゃっている証なんではないかと思われ。

■これは、日本的な現象でもあります。というのは、各論で紹介する通り、亜インテリのポジションは、必ずしもインテリにとって逆機能的に働くとは限らないからです。逆に言えば、1960年代までの日本では確かにマンハイム的な[知識人/大衆」図式が機能するように見えましたが、それは欧州で機能してきたのとは文脈が違うということです。簡単に言えば、日本では欧州にあるような意味での知識人へのリスペクトが、ない。

ないねー。

■こうしたコンスタント・ファクターである「代替的地位獲得競争」に、スペシャル・ファクターである今日的な「流動性不安」が絡むことで、ジェンダーフリーのような内政問題から、対北朝鮮や対中国の外交問題まで含めて、リベラルなものへのバックラッシュが起こっている──。それが私の分析です。そこではジェンダー・フリー論者も「冷酷なハト」も共に、叩く側から「恵まれた連中」に見えているというのがポイントです。

悲しいことですな。僻みを原動力に生き、人を論破すること自体が目的になっちゃっている。日テレの選挙報道とか見てると特にそう思っちゃうよ。

■その象徴的な帰結が、二〇〇五年の秋の総選挙結果に見られました。これについては公式サイト「ミヤダイ・ドットコム」をはじめ、多くの場所でコメントしています。要は、小泉自民党の「不安のポピュリズム」による「都市型保守」の動員に対して、民主党は「都市型リベラル」の有効な動員戦略を示せなかったということです。都市無党派層を取り合う「イメージ選挙」の戦いに、民主党は完敗したということになりますね。
■理由は二つ。第一に、今日的選挙が、都市無党派層を「都市型保守」と「都市型リベラル」とで引き合うイメージ選挙であることを、前代表を含めて民主党執行部が理解していなかったことがあります。第二に、政治心理学の立場から言うと、豊かな社会では、人々が何を不安に思うかは共通でありやすいのに対し、何を幸せに思うかが多様に分岐しやすく、「不安のポピュリズム」のコストパフォーマンスが高くなるということです。

まぁ、あの選挙、とりわけ民主党について言うのであれば、本来民主党に期待し、政権交代を心待ちにしていた層までもが、今回に限っては小泉に任せておいたほうが改革も手っ取り早く進むんじゃねーのとか思っちゃったっぽいなーんて事情も無きにしも非ずとか思っちゃったりもするわけですが。パフォーマンス重視を政策面にまで出しちゃったが為の政策選択の失敗が、そのまんま選挙活動においても虚を見透かされちゃったというか。だからなおさら小泉流「一見明快な何でも改革論」に、簡単にからめ取られちゃうような人たちはまぁもともと小泉ファンが多かったかなという気もするけど、今回限りで打算的に絡め取られてみようと考えちゃった人も少なくはないんではないかなぁと。

■いわば、多様性を許容する、民度の高い「動機づけの手当て」ではなく、多様性を許容しない、民度の低い「動機づけの手当て」になっています。このオブセッシブ(強迫的)な尻叩きが、おなじみの日本的な腐臭を漂わせているわけです。そうした日本的な自立支援や参加支援に対し、「そうした方向での自立や、そうしたものへの参加はイヤだ」というタイプの退却が生じていて、それが昨今「ニート」と呼ばれているわけです。
■元々「ニート」は「動機づけの支援」(自立支援や参加支援)をしても乗って来ない若者を指す英国の言葉です。乗って来ない理由は階級やエスニシティなどに基づく「社会的排除」だと考えられています。アファーマティブアクション論者(動機つけの支援!)ニコラ・サルコジ内相の強権的発言で激化したフランスの移民暴動も同じ図式で説明されています。欧州では、「ニート」概念が「社会的排除」概念とセットなんですね。

海外では「動機付けの支援」に乗ってこない「ニート」を、日本では定義を摩り替えた上で「動機付けの支援」によって救い上げようとしている、と。う~んむwww

そっから後ろの議論も読み進めると実に面白いんだけど、頭の悪いおいらにはコメントのつけようもないのでここではパスっす (^_^;;