どっちもどっちで極端なんだよなぁ。 ― 2007年04月29日 01時49分31秒
また微妙に乗り遅れなのですが。。。
とりあえず、一言。
自分の能力に自信がある人は、自分の能力に自信の無い人であっても、ちょっとしたきっかけで十分有能な人間に化けられるものだと信じている。
自分の能力に自信が無い人は、自分の能力に自信を持っていて実際確かに有能な人に対して、自分とは違う人種 (いわゆる天才) であって、到底そこには届かないという実感がある。
一方で、これらの立場に対して中間的な立場を取れる人もいる。おいらは自分の能力に自信が無いわけではないけど、一方で一日一万行もプログラムを書けるようなタイプの人間にはなれないなぁとも思う (なる必要も無いとも思っているのでそれがコンプレックスになるなんてこともまったく無いんだけどね)。努力しても能力が身につかない人がいることも知っているし、おいらだって努力したけど技量があんまり身につかなかった物事はいくつでもある (とりわけ勝負事は勝敗という結果を以ってしらしめされるので、なおさらこの実感は強くなる。スポーツとか)。しかし一方で、最初から上ばかりを見てしまって try も無しに諦めちゃってる人が割とたくさんいるってことも知ってる。それも、諦めた分の空いた時間を他の何かに注ぎ込んだり探してみたりって言うんじゃなくて、本当に何もしないし探さないっていう。
さて、大学も卒業が迫ってきて、進路について考えなきゃ、っていう段階になって、考えなきゃいけないことってなんだろうか。個人的には、そういう段階になって初めて考え出すようじゃ遅いし、そこで一から考え始めても到底まとまるまともな答えなんて無いだろうから、あとはまぁ無難な選択肢の中から直感で適当にかいつまんでみればよろしいのではないかと思う。そもそも業種の分類としてどういうものがあるのかぐらいは調べておいたほうがいいとは思うけどね。SIer が生きがいになる人がいないとは限らないけど、「創造的な仕事」がしたくてそっちへ飛び込んじゃう人が毎年割とたくさんいる現状ってのはさすがに哀れすぎると思う。
就職活動の季節が香るずっと前から、自分が進むべき進路を確定していたような人は、ここへきて今さら迷う必要は無いよね? そのままその道を邁進してゆけばよいと思う。
「安定している会社」「福利厚生が充実している会社」「技術を教えてくれる会社」 などなど、 なんとなく「いい会社」のイメージを思い描いているだけで、 それが自身の人生にどう役に立つか、 筋道だった考えを持っているわけではないことに 改めて驚かされます。
仙石さんは「違う」といいたいようだけど、私は学生の方が正しいと思う。特別な信念がないなら、安定して儲かっている勝ち組の大企業を目指すのが断然正しい。凡人は新卒でなければ大企業への入社は難しい。後から「やっぱり大企業にすればよかった」と思っても遅い。逆に中小企業へは後からでも行けます。
多くの技術者を志す学生が「特別な信念」を持っていないことに驚きを隠さずにいる仙石さんに対して、「特別な信念を持たない学生」を基準に話をしても、かみ合わないでしょう。仙石さんは、技術者を志す人間は、おのおのに何らかの信念を抱いているべきだと考えているわけです。もちろん、現時点でなんら特別な信念を抱いていない学生たちに、信念を持っていることを前提に就職する会社について説いてもあんまり意味が無いことも確かではあります。
しかしそれでも、おいらとしては仙石さんに同意できる部分は多くあります。おいらの場合、「信念」などというたいそうな言葉を使うつもりはなくて、かといって「人生プラン」なんてスーツの似合いそうな言葉wで茶を濁すつもりも全然なくて、月並みではありますが「目的」ぐらいの言葉が最も妥当なんではないかと個人的には思っております。
技術者に限ったことではないのですが、目的意識のない人間が、それでも仕事をこなすということに、あまり意味を感じないのです。もちろん、現実問題として収入を得て自活する必要に迫られるのは確かですし、収入を得ること自体が目的になりうる可能性も否定するつもりはありません (平均的な物乞いが現在得ている収入を知らんのでなんともいえませんが、生活レベルやコミュニケーションなどの面もありますので、「金が欲しいだけなら坊主かホームレスにでもなればいい」なんて極端なことは言いません)。なので、自分がそれまで学んできたことに対して、何らかの目的意識を持ってそれらに臨んできたわけではない、ということであれば、仕方がないのでとりあえずは「無難な就職」を実現しておくのが良いのではないか、という意味では徳保さんと同意見です。
とはいえ、それはあくまでも「とりあえず」の選択であるべきです。つまり、「人生選択を保留する」という考え方です。そして、そのためには再選択が行いやすくなるようなポジションを確保しておかねばならない、ということになります。
以上を踏まえた上で、最初に仙石さんが取り上げていた 3つの要素について、おいらなりの視点を書いてみることにします。
- 安定している会社
「成功している会社」「勝ち組企業」にある程度長い期間勤めていたという経歴は、どこへ行ってもそれなりに評価されます。成功体験を積んでいるということが、成功を収めるためのノウハウをある程度持っているという意味で捉えられるのでしょう。もちろん、そういう会社に勤めていたことが、結果として個人の成功体験に結びつくとは限らないわけですが (^_^; 、再就職の際にはその辺はあんまり吟味されないことが多い気がします。
もちろん、経歴に関して細かいことを聞かれるようなことがあって、それに対して答えがあやふやになってしまうようでは、相手に不安感、不信感を覚えさせることになります。与えられる仕事、自ら取り組む仕事の一つ一つに対して、いかに意識を持って仕事に取り組み、打ち込んでゆくかという、実質的な経験をつむことが、結局は重要になってきます。
翻せば、会社全体としては落ち目であっても、自分が取り組んだ仕事において何らかの成功体験を経験として刻み込むことができれば、自分がこなしてきた仕事に関して饒舌でいられるでしょうし、まともな経営者であればそういう部分は必ず評価してくれます。なので、「安定した会社」であるというのはいいことではあるけれども、ものすごく重要なこと、というほどのものではないと思っています。
大きな会社がいいか小さな会社がいいか、というのも、その人の持つ志向によって変わってくるんではないかと思います。いろんな会社を渡り歩くことを考えているのであれば、大きな会社で働いていたという職歴はそれなりに役に立ちます。いずれは起業したいと考えているのであれば、小さな会社を何社か渡り歩いて経営者の行動を身近に知っておくということがかなり参考になったりします。
- 福利厚生
健康保険や厚生年金、各種手当てなどは、その会社に一生勤めるつもりでいるのであれば重要かもしれません。有給休暇のない会社に就職してはいけません (労働者の最低限の権利のひとつ)。残業については、たとえば SIer を志す人であるならば、その業種を選んじゃった時点で諦めなきゃいけないかもしれません (業種ぐらいは調べておけ、って言った理由にはこの辺の事情も含まれる)。
ただ、同じ会社に一生勤めることを前提に、扶養手当も退職金制度もやたらと充実した企業を選択し、そして早いうちに結婚して、家族を持って一生安泰、という生き方が、実はもっとも危険なリスクを背負った生き方であるということも指摘しておきます。特にソフトウェア業界には、気分障害を患う方がたくさんいらっさいます。
精神的に体を壊し、とても仕事を続けられる状態ではない。職場環境に端を発していることは明らかなのだから転職を考えるべきなのに、そもそも転職しないことを前提に就職を決めたからまともに転職できる自信がない。それどころか、家族の生活を守らねばならないのに自信のない転職になど踏み込めないし、収入の途絶える長期の休職なんてとても取れない。例え有給で休職を取れる制度があったとしても、長期間現場を離れることになるのは恐い。などなどといったことをぐるぐると考えれば考えるほど、自分を追い込んで余計に精神的に辛くなってくる。そうやって苦しみながら働き続けちゃっている人が、この業界には割とたくさんいらっさる。
福利厚生を以って保険をかけるよりは、どんな職場であれ、いつでも逃げられる用意をしておいた上で臨むほうが、よっぽど保険になる、というのが、少なくともこの業界では常識になってしまっています。そしてそのための絶対必要条件が、皮肉にも確かな技術スキルであったりするわけなのです。あとは職場の人間とはあんまり仲良くなりすぎないようにすることかな。特にお金関係の貸し借りは絶対に作っちゃ駄目。
ちなみに、必要最小限の福利厚生で十分であるならば、健康保険も厚生年金も残業手当も扶養手当も失業保険も、大概のものはイマドキ派遣会社でも提供してくれています。交通費は出なかったりしますが。
- 技術を教えてくれる会社
これについてはもう、完全に仙石さんのおっさられるとおりかと思われます。むしろ、信念どころか目的意識すら持ってない人こそ、その目的を見つけるためには自ら興味のアンテナ、食指を広げていくことが重要になります。そういう意味では、「教えてくれる」ではなくて、「触れる機会のある技術が多岐にわたっている」ような職場を選択するのが最も賢いのではないかと思います。
ちなみにおいらの場合、周りのみんなが就職活動に色めき立っている間、おいらは別の大学院への進学を目指して勉強していたわけだったりしていたのですがw、10月になって諦めて (遅っ!!)、慌てて教授のコネを使って就職を決めたクチだったりしますw。なので就職についてはあんまり大口叩けるわけではないのですが (^_^; 、結果としてはまぁ、それなりにいい会社だったとは思います。
就職した当初は、とりあえず 5年間あそこで働いて、技術スキルではなく仕事の段取りや仕事のとり方を身につけて、5年経ったらその時点でどう振舞うべきかを再考しよう、と考えていました。結局諸事情あって行動に移したのは 6年経ってからだったわけなのですが (しかも「仕事のとり方」とか身についてないし、1年間ぷぅだったしw)。
コメント
_ @DRK ― 2007/04/29 11:31:19
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://harapeko.asablo.jp/blog/2007/04/29/1471435/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
「自分の能力に自信がある人は、自分の能力に自信の無い人であっても、ちょっとしたきっかけで十分有能な人間に化けられるものだと信じている。」
は
「自分の能力に自信がある人は、自分の能力に自信の無い人★に対して、その人は★ちょっとしたきっかけで十分有能な人間に化けられるものだと信じている。」
って事かな。ちょっと混乱。
福利厚生は滅茶苦茶重要です。俺が言うのだから間違いないw
仙石さんが言っているのはおそらく「プラスアルファ」(退職金とか?)の部分で、最低限の福利厚生(健保や厚生年金)は確保されているって前提だと判断。
新卒の人が福利厚生にどれだけ具体的なイメージを持ってるかは分からんが、新人からそんな心配しなくちゃいけないご時世も世知辛いねぇ。
ただ具体的なビジョンが見えないからこそイメージ先行で少しでもいい方向を求めるのはよく分かる。
就活時期とは言わないけど、一度自分の加入している保険制度を勉強しておくのはとっても大事な事ですよ。
スキーでも骨盤とか大腿骨折れたりするしw
あと就業規則と人事規定。これは一度穴が開くぐらい読むべきだわ。
休職規定とかは会社によって全然違うから。。。