やじうま的人権論議所感2008年09月17日 08時12分23秒

ホームレス支援に絡む人権論議で面白い議論があったので紹介。

話の流れとしてはこんな感じ。

  1. それ以前に、「そもそも (ホームレスに、あるいはそれに限らず) 人権なんて (概念、思想として、あるいは現実的、運用において) 存在するのか?」という論がぽろぽろ噴出していた。
  2. hokusyu さめ: 「すべての人に (当然ホームレスにも) 人権は自明なのだから、ホームレス支援も自明」
  3. inumash さめ: 「人権が自明だと理解していない人には自明だと断じるだけでなく、人権思想の意味や歴史背景を説明すべきでは?」
  4. hokusyu さめ: 「意味を論じることに応じれば自明性を揺さぶられ、時間稼ぎに乗せられるだけ。自明だと言い張り続けることこそ重要」 ←今ココ!

おいらは inumash さめの意見は教育のお話だと理解した。つまり、現実問題として「人権」という概念が、義務教育課程においても公民の授業で取り扱われているにも関わらず、文化としては未だにちっとも浸透していないという現実がある。現状、ホームレスにおかゆの炊き出しをして食いつなぐことを支える行為は、糞害をもたらす鳩に餌をやるのと同等の迷惑行為として捉える方々が少なくない (人によっては鳩の方がかわいいからむしろ炊き出しのおかゆは鳩に食わせてやれっていう人もいるかも)。で、そういう考えを持っている方々でも、一方では「人権」という言葉を理解しているつもりだったりする。

「すべての人に人権が保障されているわけではない」とか、「そもそも人権なんてものは自明ではない」とか言えちゃう人がいるって言うのは、これはどういう事かと言えば、人権という言葉の意味を正しく理解していないと言うことで、すなわち言葉を辞書に書かれている意味通りに使えていないということ。よく、どんな言葉であっても、「私は○○という言葉は××な△△という意味で使っています」とかって宣言する人がいるけど、まさにそういう行為そのものなんだよね。本当はその言葉にそんな意味はないのに、その程度の意味の改変は許されると思っている。そういうことをしょっちゅうやっちゃう人ってのもいるし、場合によってはやりたくなっちゃうケースってのも確かにある (おいらにもある、って言うか割とよくやってた気もするw)。

おいらがいわゆる「便利な言葉」 (意味を曖昧にさせることによってどんな場面にもいくらでも便利に使えちゃう言葉。「うざい」とか「フツー」とか) に神経を尖らせる理由の一つがここにあって、よく、言葉の歴史は意味の変遷の歴史だとかって言う人がいて、それはひとえに事実なんだろうけど、でもその事実を根拠にそうした言葉の使い方を無碍に許容するばかりでは、「思考」も「議論」も、はたまたまともなコミュニケーションでさえ、成り立たなくなってしまうんじゃないかという危惧がある。今回のケースはまさにそれで、「人権」って言葉の意味論をこねくり回し続けるだけでは、きっと実運用としてのホームレス支援については、議論は一歩も進まないだろうね。これは、むしろホームレス支援をやりたくない人たちにこそ、実害は大きくなるんじゃないかな。大抵の場合、どう転んだって誰かが何らかの形でやらなきゃならないことこそ、後回しにすれば後回しにするほど、そこに手をつけなきゃならないリソースは、人的にも金銭的にも膨らむばかりだよ。だだ捏ねて邪魔をすればするほど、我が身に降りかかる可能性は膨らむばかりだ。

というわけで、薄情で面倒くさがりなやじうまのおいらとしては、ホームレス救済支援が政策として一歩でも二歩でも先に進んでくれることを切に願う。そのためには、 inumash さめ的な深い議論は頭の柔らかいお子様向けに公民の授業に取り入れられることを期待するにとどめ、分からず屋の幼稚な大人向けには hokusyu さめ的な「自明なものは自明なんだ」の一点張りで突き進む、というのを支持することにします。

まぁ、貧困問題ってのはいつ我が身に降りかかるかも分からない問題なわけだから、そこから救済される社会システムがより公正に構築されるっていうんであれば、おいらとしては支持したいけどね。税金の使い道としても、プライオリティ高めで。個人的には、このプライオリティは 1 に教育、 2 に研究、 3、4 がなくて、 5 に福祉だと思ってるけど、うわぁ、どれも実際は…。

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