片腹が激痛 ― 2006年11月30日 18時18分26秒
- 教育再生会議「心の成長」策提唱 「30人31脚」など (朝日新聞)
以下、強調は T.MURACHI による。
安倍首相直属の教育再生会議の「規範意識・家族・地域教育再生分科会」(第2分科会)は29日、来年1月に打ち出す第1次報告の素案をまとめた。「子どもの『心の成長』のために」と題し、「家族の日」を創設し、家族一緒に夕食を取ることや、協力・助け合いの重要性を実感してもらうため体育の時間に「30人31脚」を行うことなどを提唱している。
(中略)
また、二人三脚を30人で行う「30人31脚」のほか、全国の小中学生が最高レベルの芸術を鑑賞する機会を与えること、いじめなどを題材とした演劇の鑑賞や演技を通じて「お互いの心の闇や過ち」を理解させることを提唱している。一方で、子どもに悪影響を与える番組を通報する窓口組織の新設も求めている。
_, ._ ( ゚ Д゚) ( つ旦O と_)_) _, ._ ( ゚ Д゚) ガシャ ( つ O. __ と_)_) (__()、;.o:。 ゚*・:.。
参った。ホンの一時でも安倍氏の教育改革路線に期待したおいらが馬鹿だったよ。

大人問題 (五味太郎 / 講談社文庫)
いつだったか、「大人問題」から以下のセンテンスを引用したことがあったような気がするんだけれど、もう一度引用しておこうと思う。大なわとび教育がいかに間違っちゃった手段であるかということをよく認識して頂きたい。
■ いつだったか「大なわとびでギネスブックに挑戦」というテレビ番組がありました。学校の先生が生徒百何人を使って、記録に挑戦していました。いや、そうじゃない、生徒からの発案だ、自主性だ、と言うでしょうけど、それは甘い。見ているうちに、重たくなってきました。まあ、半分ぐらいはそういう馬鹿騒ぎが好きな、はしゃいじゃうタイプの子もいるんでしょうが、その一方には必ず、必死な、悲壮な子がいるわけです。結果的には成功しましたが、記録達成の瞬間にそういう必死な子たちが泣き出しました。それを、カメラで映してる大人は「成功したから感激して泣いている」と実に脳天気に見るわけです。冗談ではありません。ぼくにはその子たちがどんな気持ちだったのか、九割ぐらいはわかる。もう命がけです。失敗したら「おまえの足が引っかかったからだ、お前が真剣にやらなかったからだ」という形で村八分だったに違いないのです。だから、もし失敗するなら、みんなでいっぺんに引っかかってほしいぐらいのことを本気で思っていたんです。たかがなわとび、たかが遊びだからこそこわい。そういう教師はたぶん、みんなが心を合わせて一つのことを成し遂げた、それを自分がリードした、いい思い出ができた、ぐらいにしか思ってないんだろうなと思います。
そして氏は、そういった全体主義的な考えをよしとする姿勢を、戦争体制下の教育になぞらえて批判を展開していくわけですが、続きは是非本を買って読んでみて頂きたく。。。
大体ね、体育の授業で教えることじゃないですよ。そもそも道徳自体が授業として教授されるべきこととは思ってないですが、それでも何が悪で、どうあるべきかってことは、回りくどい方法で体験してもらおうなんて形ではなくて、はっきりと口で、言葉で伝えるべきです。定義どおりに。で、その言葉 (教え) の本質については、各自が各自の生活の中で、各自のコミュニケーションの中で、学んでゆくべきです。だから、子どもの周辺のコミュニケーションを改善する為に、街ぐるみ、地域ぐるみでの、人間の「見える化」を推進するような政策であれば、おいらも期待します。でも、「助け合いの気持ち」とやらは、「全体主義」を奨励するような授業内容では到底培われません。こんな小手先の、しかも間違った政策内容を以って、「教育改革路線」とか言ってるようでは、片腹痛いです。
「子どもに悪影響を与える番組を通報」ってのも、ドリフターズが全盛だった、かれこれ 20 ~ 30 年も昔の発想じゃないですか。。。orz
以下、参考サイト。
コメント
_ @DRK ― 2006/11/30 21:09:26
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安倍内閣が何故か教育に力を入れてはいるけど期待なぞこれっぽっちもなく・・・
確かにトップダウンでの方策は必要かもしれないけど、結局は底辺での改善がなされなければ意味ないし、上から降りてくるのを悠長に待っていられるほど自殺予備軍は気が長くない。
>それでも何が悪で(略)はっきりと口で、言葉で伝えるべきです。定義どおりに。
激しく同意。
加えて言えば、「これは大前提だから、疑問に思うのは勝手だけどまずは守ろうな」とも言っといてくれるといいかも。良くないけど。
瀬戸内寂聴さんも言っていたが、「人を殺してはいけないなんてのは議論するまでもない当たり前のこと」と。
当たり前のことだけどそれすら説明しないと理解し納得できない子供の環境には多少同情するが。。。
長文スマソ