それは土壌の問題。 ― 2005年11月20日 11時08分07秒
たぶん、この手のgeek不在地帯というのは、地方医療の現実に似ている。地方に総合病院はあっても町医者がいなくて地域の医療体制がガタガタになっているようなものだ。金を払えばgeekを連れて来ることができるというわけではなく、むしろ彼らにとって一番のやりがいというのはgeek同士で認められることであったり、最先端のものに触れ続けることができる環境であったりする。ましてや、geek不毛地帯の住民は、geekにアクセスすること自体をためらってしまうわけだ。
その例えはおかしい。いや、その解釈がおかしい。
geek と言う言葉をここでは「システム開発等の技術やそれらに関連し携わる仕事(含むプロマネ)に対して有能かつ高い関心を持つ人材」と解釈するなら、現場における geek 不在の一番の要因は、プロジェクトを立ち上げる企業の土壌の問題だと思う。そういう土壌のある現場では、自然と新しい(そして必要な)技術は現場の人間たちの関心によってどんどん取り入れられてゆくし、そうしたノウハウは個人単位に収まらず、現場単位でしっかり蓄積されてゆくもの。そして、そうした土壌のある現場に流入してくる人材は、そういう意識の空気に感化される人間だけがしっかり残ってゆくものです。
そうじゃない現場にも「技術者」はたくさんいます。でも、そう言う土壌を培ってこなかったことにより、そうした現場の技術者たちは、自己のパフォーマンスを正しく発揮する術を知らずに過ごしていってしまう。肥沃でない土に埋められて、芽を出してくれる種などないんです。
そんな土壌を持った企業のプロジェクトに、外から geek をいくら連れてきたところで、問題は解決しないでしょう。geek にアクセスすることをためらっているわけじゃない。本当は連れてきてる(紛れ込んでいる)けど、連れてこられてきた geek の方が、こうした土壌ゆえに、自分のポジションなりにプロジェクトをまともな方向へ動かすことすらできないでいる、というのが真実なのではないでしょうか? だから、それに気づいた人間から、根を生やすことなくさっさと逃げていってしまうんです。
おいらが思うに、geek を必要としている現場の企業ほど、自分らの社内で geek を育てる、 geek が育つ環境を作ってあげなきゃいけないと思う。「こういう現場にこそ geek が必要だ」といって、じゃあどうやって geek を連れてこようか、というのは、発想のスタート地点から間違っている。必要なのは数人の geek なのではなく、 geek 的な仕事ができる人材の育成と、情報技術(特にシステム提案)の重要性を社内で啓蒙することを始めとした、現場レベルでの土壌作りなのではないでしょうか。
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