ブラウザのシェアってそんなに重要?2006年12月29日 11時06分41秒

IE7 のリリースの意義は、プライバシー保護の強化 (フィッシングブロックとか) と、利便性の向上 (タブブラウジングとか)、そして表示機能の精錬にあると思っています。

IE7 のレンダリングエンジンが IE6 に対して変更された点の多くは、W3C などが提唱・勧告する標準に則ったものです。標準から外れる機能の新たな実装として、目立ったものは特に見当たりませんでした (というか、おいら自身は把握していません)。

IE7 のレンダリングエンジンも、Gecko や Opera、KHTML などと比較すれば、まだまだ標準から外れている部分も少なくありませんが、IE6 では顕在化し、「バグ」として認識されていた多くの問題が修正された結果、IE の為だけに書かなければならない特別な記述が、より少なく済むようになったのは確かだと思われます (もちろん、IE6 を考慮しなくてよいのであれば、の話ですが)。

さて、PC 上で動作する Web ブラウザのシェアに関する情報が報じられると、その度にヒステリックな議論がフレームアップするわけではありますが。。。

もう正直、どうでもいいではありませんか。イマドキ、使ってるブラウザ (それも PC で動くブラウザ) のシェアを気にして Web 開発やるなんて、静的型付言語で変数の型を気にしながらプログラミングするぐらい、ナンセンスです。今後、どのブラウザがシェアを占有しようと、かつての醜悪な IE vs NN 的ないわゆるブラウザ戦争みたいな事態に陥ることは、ありえません。Web 開発者は、あくまで標準をベースに設計し、開発すればよいのです。その上で、動作上の有意な差異が認められる部分についてのみ場合分けし、入念にテストを行えばいい。

IE のみを考慮すればいいのであれば、その分開発にかかる費用は減らせるのか? 将来的なメンテナンス費用を考えれば、それは必ずしも正しくありません。IE はこれまでも、メジャーバージョンアップごとに、レンダリングエンジンの仕様を大きく変更してきました。IE7 では HTML の解釈についてのみ言えばかなり標準に近い実装がなされているので、それを思えば IE8 以降のバージョンアップについてはこれまでほどヒステリックになる必要もないでしょうが、でもそれは Microsoft が Web 標準に対する姿勢を改めた結果の恩恵であり、標準を前提とした上での保証であります。

だとすれば、PC 向けのブラウザに関して、そのシェアについて語ることに、燃料投下以上の意味は無いのではないでしょうか。

UA に対する配慮という意味では、今後は携帯端末や携帯電話に対する配慮の方が重要であるように思います。もっとも、携帯電話については対応の方向性はある程度固まりつつあるように思いますが、フルブラウザを採用する携帯端末が、画面が非常に小さいことに対する配慮というのは、まだあまり考慮されていないように思います。この辺なんかは、現状使い物にならないからシェアが小さいのであって、サイレントマジョリティ(笑)は考慮されるべきものなのかもしれません。知らんけど。

コメント

_ まこじょ ― 2006/12/29 23:34:45

はじめまして。webのデザイナーしている者です。
IE7はHTMLの解釈は正しくなったのかもしれませんが、悲しいかなCSSの解釈やレンダリングについては未だに誤った解釈や未実装の所が多く見受けられるため、規格に則った記述をしても正しく表示されないのが現状です。「あり得ない」が「これは酷い」になった程度です(それでもかなり改善はされましたが)。
そのため、現時点に限って言えば、IE以外のブラウザを切り捨ててIEに特化したマークアップやCSSレイアウトをすることで、制作と表示テストの工数は確実に削ることができます。勿論それが良いとは思いませんが、デザインの作業をしている人間からすると、まだ作業の優先順位を付ける根拠になるくらいにはレンダリングの差異はあります。
まあ、それよりはXPとVistaのフォントの差による表示のズレの方がはるかに問題が大きいのですが…。

_ T.MURACHI ― 2006/12/30 13:16:39

>まこじょさま

はじめましてです(^^)。

Web デザイン関係者の生の声として、重く受け止めさせて頂きます。。。
実際のところ、技術者寄りの Web 開発者 (表示よりも可視性や情報の正確性、堅牢性などを重視する人々) と、実際の表示を重視する Web デザイナーとでは、認識に大きなずれがあるのではないかと思っています。
少なくとも、技術者よりの人間で、「フォントの差による表示のズレ」が生じるようなデザインを好む人はほとんどいないのではないかと思います。DTP 出身者は Mac ユーザーの方が多いのではないかと思われますが、そういう方で現在 Web デザインを手がけているという人はいらっしゃらないのでしょうか? そのような方々が、Windows のバージョン間の差異によるフォントの違いの問題について、どのようにお考えになられるのか、興味深いところです。

いずれにせよ、HTML や CSS というのは、本来、生で叩くべきものではないのかもしれません。少なくとも、現状の (X)HTML や CSS の仕様が、生で叩く人にとって優しい仕様であるとは思えません。逆に、これらを「生で叩くものだ」と思う認識が、Web アプリにおける脆弱性対策としての「サニタイジング」といった、誤った認識を広める結果になってしまったのではないかとさえ思えます。

CSS では多くの仕様が策定されていますが、Gecko (Firefox 等) や Opera などで、これらのうちのどの程度までが実装されているのかは、実はおいら自身把握できていません。テーブルレイアウト関連の CSS なんかは Gecko でも実装されたのは結構最近だったように思います。そうした中で IE が (7.0 でも) ずば抜けて実装が遅れているのは、確かにその通りだと思います。
ただ、おいらが主張したかったのは、今後は IE であっても、その「標準」に則った機能追加しかなされないよ、ということです。付け加えると、非標準である古い機能の、将来バージョンの IE に於ける処遇がどうなるかは分かりませんが、標準の機能であれば将来バージョンの IE でも生き続けることは保障されます。結局は、「IE ベースで実装し、必要に応じて他の環境への差分を埋め合わせする (か、もしくは切り捨てる)」のではなく、「標準ベースで実装し、環境によっては一部機能が未対応であっても問題なく利用はできることを確認する」というスタンスの方が、何かと幸せになれるんではないかと思っています。

Web デザイナーによるギリギリのチューニングに対して実用に耐えうる CMS ってあんまりないのかなぁ? (そもそも CMS の類をあんまり試したことがない>ヲレ)

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