ok. これはビジネスの話デスネ。2006年12月10日 01時49分47秒

会社によって濃淡や違いはあるだろう。だけれど出版社やレコード会社はどこも創作に投資して、収益をあげることだ。彼らに収益を与えることは、創作への投資をうながすことにつながっているんじゃないか。

500円DVDを売るデッドコピー屋をいくら保護しても、創作へのインセンティブにはつながらない。

なるほど。しかしネットワークの普及によって、創作活動へコミットする敷居は確実に下げられてゆき (ex: ラノベ、フラッシュ、同人音楽、etc...)、一方で YouTube におけるやり取りのような楽しみ方が普及してゆく中で、変わらぬビジネススタイルと市場構造を保ち続けることを前提に「創作へのインセンティブ」を考慮するというのも、なんだかおかしな話であるようにも思えるのですが。。。

JASRAC 会員になったために自身のサイト上で自由に曲の公開もできなくなった萬Z氏の「おれたちゃ小作農か」発言とか、同人出身でベルウッドレコードに見初められ、契約したは良かったものの、コンサートの DVD が大して売れなかったからかどうかは知らんものの、新作アルバム出すに当たって、やたらとしょっぱいプロモーションビデオ (注: 直リンク) 作らされたり、抱き合わせ商材の内容を販売店ごとに違うものにされたりといったあこぎな商売を余儀なくされている Sound Horizon とか見てると、こういうのが本当に文化的であると言えるのか激しく疑問だったりするわけで、これ以上の既得権益を確保させることによってこういう出版社やレコード会社や放送局みたいなところを甘やかすのが結果として創作者 (「になりたい人」含めて) の利益になるのかというと。。。

文化における利益というのは、必ずしもお金だけのことをいうわけではないと思うのですよ。反面、企業というのは、お金が無ければやっていけない組織なわけですから、どうしても、経済的利益を上げることを第一義に考えざるを得なくなる (もちろん、現場の方にしてみれば、そんなつもりは無いのかもしれませんが、結果として、儲からなければ成り立たない世界にはなってしまっている)。だから、十分な経済的利益が上げられなければ、こうした会社が活動できなくなってしまうから、創作者も不利益を講じる、という理論になりがちなんだけれど、その理論を覆しうる存在として、インターネットは成り立とうとしてしまっている。だから、話がややこしくなっているというか、むしろ本来の (文化的活動と経済的活動を切り離した) 議論が成立しうる状況になってきたというか。

正直、おいら自身、はっきりいって、この辺はまだまだ整理しきれていないのですが、少なくとも、10年前、20年前の枠組みとは、明らかに違ってきているのに、10年前、20年前の状況を前提に著作財産権を語ること自体、間違っているのは確かだと思う。そして、出版業界やレコード業界や放送業界が存在しなければ広い地域を舞台とした文化的交流は有り得ない、ということもなくなってきているため、これらの業界が必ずしも必要にして便利、ということもなくなってきちゃっているこの時に、これらの業界の利益を膨らませることが創作者たちにとっても利益になる、という論理は、そろそろ限定的になりつつあるというか、古い考えになりつつあるんではないかというのが、おいらの感触だったりするわけです。

権利の問題で過去の作品が複製できないことになって、失われてしまうという問題がある。しかしそれは50年という期間のままであっても起こりうる問題なのだ。そして有効な対策は「期間を延長しない」などという消極的なものではない。図書館等を充実させて、作品へアクセスする機会を守ることだ。そのための法整備をすればいい。保護期間とは別のルートで守れば、著作権が切れていない作品が失われることも防げる。

最近の松本零士とか見てると、著作権の保護が、自由な創作を妨げる可能性について、本当に頭が痛くなってきます。参照できる環境が整っていればよい、という問題ではないでしょう。過去の創作に対する、新たな創作への自由が、どの程度の範囲まで認められるべきか。また、その範囲を、法的に、どの程度明確に定義できるのか。といったあたりが焦点になるのでしょうか。

コメント

_ 吉田章太郎 ― 2006/12/27 13:35:11

本来はTBの方が良いでしょうが、コメントにしておきます。参照されているナガブロの中の人は、コメント欄で著作物と著作者に対して暴言ともとれる発言をしているので、まともに取り合うのはどうかと思います。私のBLOGでも賛成派の意見として取り上げましたが。
図書館という発想が出てくる時点で、この人は時代遅れです。著作権法が保護する範囲はすでに書籍やレコードにもとどまりません。

松本零士とちょっと絡みますが、著作権法でパクリのガイドラインを設けるべきだと思っています。

_ T.MURACHI ― 2006/12/28 01:29:49

コメントどもです。リンク先記事読みますた。
言及記事は明日書きます (多分)。

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