Winny は言ってみれば不正改造車みたいなものだった。 ― 2006年12月16日 21時20分57秒
例え話については全面的に賛成です。おいらも狂ったメーターを放置していいとは思わないし、ファイル共有ツールで送信ファイルを自己管理する機能も持たないような状態を放置していいとも思わない。
ただ、今回の裁判について、「開発者が萎縮する必要はない」と言われると、それはさすがに断定できなくなってしまう。
だって、裁判長は「Winny の技術に問題はない」ってきっぱり言い切っちゃったんだもん。
これってよーするに、裁判長は問題の本質を理解することが出来なかった、ってことじゃん。
で、「でも悪意はあったようだから(姉へのメールとか)、犯罪ってことにしておきましょう」なんて日和った判決を出しやがった。
こうなると、本質的には Winny のような (責任の所在を曖昧にするような) 機能的欠落がないツールであっても、開発者が罪に問われる可能性が出てきてしまうことになる。
もちろん、京都府警が問題の本質を理解していて、そこに信用がおけるならば、実質的には (まともなプログラムを書いている開発者なら)、必要以上に不安を抱く必要はないのかもしれない。そうであって欲しい、とは思う。
いずれにしても、不正改造車を取り締まるのと同じような、ソフトウェア開発に関する法律は、今のところ、存在しない。この辺を整備するという形で、けじめをつけて頂きたい、と強く願うばかりだ。
脂雨の降る街に。 ― 2006年12月16日 22時25分19秒
銀天公社の偽月
(椎名誠 / 新潮社)
「銀天公社の偽月」 (椎名誠 / 新潮社)。でろでろぬらぬら。
銀天公社の支配下に置かれた街、いびつな形をした偽の月。街には脂雨が降りしきり、川は汚れ、汚染された海からは臭気が立ち込める。街には「知り玉」が飛び回り、住人は常に監視下に置かれていた。— そんな世界を舞台に、いくつかの場面で、それぞれの人々が、それぞれに力強く生きる様を描いた、短編集。短編集なんだけど、世界観は繋がっているという、そんな感じの一冊。
読んでいて途中までは、お話ごとに場面や主人公が異なるので、「武装島田倉庫」みたいな構成になるのかと思ったのですが、最終的に、物語はちっとも回収されず、最後は書き下ろしの、鳥人間になった中国人のおっさんがべしゃっているだけの話で終了。結局短編集だったということが分かり、まぁそれはそれでいいし全体として面白かったのでいいっちゃいいんだけど、なんとなーく拍子抜けしたような。。。
でも SF 的な「世界観を楽しむ」という意味では、とても有意義な時間を提供してくれる物語群なので、SF 的世界観と人間ドラマが好きな人にはそれなりにオススメです。。。でも椎名誠の (SF 系、もしくは不条理系の) 小説を読んだことがない人は、とりあえずさっき挙げた「武装島田倉庫」と、以下の短編集のいずれかを先に読んでみる事をオススメしておきます。。。
- ジョン万作の逃亡
- 蚊
- 雨がやんだら (原題: シークがきた)
- 地下生活者 遠灘鮫腹海岸
- 中国の鳥人
- 鉄塔のひと その他の短篇
- 胃袋を買いに。
順不同。こんなところかな。文庫版なのに絶版が多いな。。。(;_;)
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