それなりにまともなマスメディアもあるようで少しだけ安心。2006年12月17日 09時58分15秒

その懸念は、今回の判決で現実味を帯びる。合法か違法かの基準は必ずしも明確ではなく「プログラムを一般公開した多くの技術者に、いつか自分も同じ目に遭うかも、と不安を抱かせる。自由な公開を妨げないためには今回、いつ、どんな行動をしていれば罪に問われなかったのか、明確な線引きが必要」と話す。

ソフト開発でベンチャー企業を設立した筑波大4年の登大遊さん(22)は「ソフトの内容よりソフトについての言動などが重要視される現実がある。開発者は違法行為のほう助の意図があったと誤解されないように注意しないといけない時代になった」と指摘した。

強調は T.MURACHI による。とてもよくまとめられた記事だと思う。同じ内容でいいから他社メディアにも配信して欲しい記事だ。

ソフトイーサの登氏は物事の本質をしっかり理解している模様。そりゃそうだ、当初の Soft Eather だって捉えようによっては、企業の社内 LAN を内側から無理やりこじ開けるツールとも捉えられかねなかったわけで、彼自身、その辺の法的感覚 (責任感覚、と言った方が適切かな?) に敏感なのだろうから。そういう人に発言を求めたという点においても絶妙。


Sun Dec 17 11:59:44 JST 2006 - 追記

以前、おいらが思いっきり否定してしまった @IT での記事を書いていた佐々木氏による別稿。判決の論旨と、その判決が捻り出されるに至る経緯のようなものが詳細に記述されており、なるほど裁判を傍聴し続けてきたジャーナリストの視点で言えば、そのような感覚を抱くのは自然ではあるかな、という意味では納得した。もちろん、それを以って判決が妥当であるとは思わない。もっとも、おいらが「妥当だと思わない」のは判決の要旨についてであって、量刑についてはもとよりあまり興味はないです。

法学博士白田秀彰氏による寄稿。待ってました。素晴らしい内容です。みんな読めっ。

参考までに一部引用。。。でも出来れば是非、リンク先へ行って、全文読んで頂きたく。

そこで、まとめれば、本件において裁判所は、(1)世上極めてよく知られたモノについては、その製造者がそのモノの社会的影響について責任を負うべきであること、(2)あるモノを用いた犯罪行為が蔓延していることを前提とするなら、そのモノの配布に「概括的な幇助の故意」が認めうること、(3)利用者が実行するソフトウェアがもたらす結果には、ソフトウェア開発者の意思や行為の要素も関与しうること――を認めているのではないか。これらがこれまでの理論を変更している部分で、問題点となる。だから、この点をとくに問題にするなら「不当判決」と言いたくなる気持ちもわからなくはない。でも、無理で不当な解釈かといえば、「うーむ……」と考え込んでしまうわけで、それゆえ私の見解は「しょうがないねぇ……判決」ということになる。

さらにいえば、何を理由に罰金150万円が妥当なのか、根拠がサッパリわからない。これでは、金子氏有罪を前提としてあまり厳罰にならないように配慮した人情判決が出されたのではないか、と邪推されても仕方がないだろう。

。。。ていうか、金子被告は白田氏を弁護士に迎えたほうがよくね? とか激しく思ってしまったわけですが。。。(弁護士免許は持ってないのかな>白田氏) (←つかそれ以前にそんな暇ネーヨw)


Tue Dec 19 08:44:34 JST 2006 - 追記

使いまわしトピからの TB で恐縮ですが。。。

やっぱり懸念していること (少なくともその方向性) は同じみたいです。。。

私は、金子さんが有罪になるべきとも無罪になるべきとも、どちらとも考えはない。ただ、技術者の立場から、開発者への萎縮効果を避けるべきであるとするなら、次のどちらかの判決が出ることを望むのが正しいと考える。

(x) Winnyは違法な利用目的以外に利用価値のない技術である(違法目的以外の利用には十分な他の技術が存在する)とした上で、それを理由として有罪と判断される。

(y) 何らかの理由によって無罪と判断される。

僭越ながら補足しますと、、、

  • (x) Winny を構成する機能および機能的欠落に違法性が認められる (違法な利用目的以外に利用価値のない機能構成であることが認められ、その頒布が違法行為であることを認める根拠となる法が存在する) ならば、有罪と判断されるべき。
  • (y) (x) の要件に満たされないならば無罪と判断されるべき。

あーでも高木氏的には頒布に対する「法的根拠」までは求めてないかな (とりあえず今回は)。立法は求めておられるようですが。。。おいらもとりあえず、「Winny は機能構成上特別に問題のあるプログラムだったから有罪なのよ」とちゃんと説明されるような判決であれば、(とりあえずは) 安心です (すくなくとも今回の判決に比べれば 100 万倍ぐらいは)。


さらに追記

まとめトピみたいになってきたので、Winny 判決に関連するおいらの発言へのリンクをまとめておきます。

記述に一貫性がちゃんと保たれてるのか激しく不安だ。。。突っ込みだいかんげいw

コメント

_ @DRK入院中 ― 2006/12/17 18:02:36

小難しいがなんとか呑み込んだ。 で、疑問。 1.Winnyは使ってないから見たこと無いがが、readmeに免責事項記載は無いのか?それは考慮されているか? 2.金子氏が「グレーで仕方なく罰金」なら、ネトランは「真っ黒で間違いなく発禁」じゃね? どうなんだろか。 いずれにせよ判決理由は納得出来るかなと思います。 しかし京都府警は恥もへったくれもないな。逆恨みで個人攻撃する前に部下にまともな教育しろよ。。。

_ T.MURACHI ― 2006/12/17 19:59:28

1. おいらも Winny は使ったことはないので README の記述は知らんが、朝日の記事 http://www.asahi.com/national/update/1213/OSK200612130057.html によれば、

『被告の捜査段階における供述や姉とのメールの内容、匿名のサイトでウィニーを公開していたことからすれば、<strong>違法なファイルのやりとりをしないような注意書きを付記していた</strong>ことなどを考慮しても、被告は、ウィニーが一般の人に広がることを重視し、著作権を侵害する態様で広く利用されている現状を十分認識しながら認容した。』

となっているので、サイトなり何なりにその手の注意書きはあったのだろうと思う。

2. 裁判という場においては、その理論はありえないらしい。金子氏 (の行為) に対する起訴なのに、その裁判の中でネットランナーを引き合いに出したところで判決にはなあんにも影響しないんだそうな。まぁ確かに、スピード違反で捕まって、「他の車もスピード出てるじゃないですか」っちゅーても無意味なのと同じだ罠。

判決理由は納得できるか: おいらは佐々木氏が彼の立場・視点であの記事を書いてしまったことに対しては一定の納得は示したが、判決理由そのものに対してまで納得した覚えはない。金子氏が無罪になろうと有罪になろうと、あるいは罰金刑になろうと懲役刑になろうと興味はないが、有罪ならば Winny というソフトウェアの機能および無能 (つまり機能の不備) に対してどういった点がどういった法に触れるが故に有罪であるかということが論理的に示されるべきであり、それが不可能ならば無罪であるべきであると思っている。今回の判決は、Winny のもたらす技術を中立的なものと評価したにもかかわらず、金子氏の言動・態度を理由に有罪とした。それはすなわち、作ったものが Winny では無かったとしても、同じように逮捕・起訴され、有罪という扱いを受ける可能性が、 0 ではなくなったということを示すものであり、それに対してソフトウェア開発者として不安を覚える。従って判決理由に同意は示せない。

京都府警について: コメントの価値なし。

_ @DRK入院中 ― 2006/12/18 07:52:27

携帯だと書きにくい。。。 判決理由を理解というより、裁判所の気持ちを理解、と言った方がよかったな。 確かにWinny自体に欠陥があった訳では無さそうだから、過失は問えず、無体物故にPL法にも適用出来ない、罪に問える法は無い。 しかし金子氏の対応には十分な落ち度があり、それに対する懲罰と言う意味で、また模倣犯罪抑止の為のみせしめとしての判決を、取らざるを得なかった。 という裁判所の考え。もっとも、有罪にする必要はなかったと思うけどな。 無罪、しかし厳重注意。その程度でよかったはず。 金子氏が全く悪くないとは思ってない。 法的には確かに罪に問われないかも知れないが、道義的責任はある。 その割には対応が良くない。違法P2Pに使われ、世間で騒がれた時に何らかの対応は出来たのではないか。と思うわけよ。もうちょい上手く立ち回ればよかったのに。。。 今回改めて、ソフトウェアに対する製造物責任の適用が不整備だと思った。 いくら表現の自由とは言え、PLは発生するんじゃないのかな。 もっともソフトウェアにPL法が適用されたら、真っ先に某ゲームは摘発されそうだが。。。 ネトランは、もちろん公判の場でどうこうなりはしない。部外者だし。裁判は原告と被告の争いの場だからな。 ただ社会的な罪は金子氏よりも明らかに重く、これでネトランがお咎めナシだったら納得出来んところ。

_ T.MURACHI ― 2006/12/18 11:13:28

Winny の件はいずれにせよ PL 法 (製造物責任法) には問えないと思う。理由は以下の 2 点。

- Winny は有償の製品ではなく、個人が無償で配布していた為、製造物責任を問うのは難しい。
- そもそも (本来) 問題とすべき機能および機能的欠落は、製作者が意図的にそのようにしたか、もしくはユーザーがそうであることを望んだものであった (可能性が高い)。少なくとも、構図として、ユーザーが機能的欠落を指摘したことによる提訴ではなく、第三者が機能および機能的欠落により損害を被っていることによる提訴であったため。

ソフトウェアに PL 法を適用できるかどうかについては別途記事にまとめてみようと思う。(そもそも法律関係は弱いからなー'A`)

道義的責任についてはほぼ同感。でもそれは裁判で裁くべきではなくて、社会的信用という形でやんわりと裁かれれば十分だと思う。だから匿名の隠れ蓑から衆目へ晒してくれたという点についてのみ言えば、京都府警の行為は賞賛に値すると (結構本気で) 思っていたりもする。大体匿名でプログラムを公開し続けるという行為自体がそもそも同義的によろしくないんではないかな? 確かに、個々人の事情というものはあるし、すべてのケースで NG とまで言うつもりはないけど、少なくとも利用者は一定の警戒を示すべき。名も身分も晒さない人間が作った exe ファイルをどうしてああも無警戒に使えるのかおいらには到底理解できない。どんな bot やウイルスが仕掛けられているかも分かったもんじゃない。

ネトランは。。。やっぱり同じような理由で有罪にはしてほしくないと言うのがおいらの立場ではあるけれども。。。しかし感情的には微妙かな。。。今回の一件でもあまり報道の場面では晒されることは無かったし、そういう怪しい情報ばっかり扱う雑誌だと言うことがもうちょっと世間に知れ渡って、本屋で手に取ったり立ち読みしている人間が白い目で見られる状況が出来上がっても良かったとは思う。いやもう既に十分白い目で見られる状況ではあるか、但し別の意味 (キモオタ御用達雑誌程度の認識) だけど。。。(理想的には、おかんに見つかると散々叱られた挙句取り上げられるぐらいの勢いがちょうどいいと思う)

_ @DRK冷却中 ― 2006/12/18 18:38:03

PL法ではソフトウェアは無体物として適用できないはず。ハードウェアに付随するソフトウェアなら、そのハードとしてのPLが発生するらしい。Wikipedia情報だが。 ネトランは豪快に著作権法違反行為を煽りまくってるし、ほう助に問われないかね。 つかネットの平安の為にも発禁にしてクレ。。。 Winnyだけじゃないしな、ネトランが煽ってるの。

_ T.MURACHI ― 2006/12/19 01:19:05

「製造物」の定義が有体物で「動産」であること、だったかな。しかしそれだけだと今後の法改正で定義が変わることによってソフトウェアも製造物に含まれるようになる可能性はあるが、それ以前に、ソフトウェアは第二次産業的な「工場生産→販売」する製品ではなくて、第三次産業的な「サービス」として提供されているのが一般的であるため、製造物責任法の枠組みで取り締まるのは (多くの場合) 不可能だと思う。

パッケージ製品もあくまでサービスなんですよー。但し「不特定多数に対する」「サポートの手薄な」サービスであるので、だから数千円~数万円程度の (実際開発にかかっている人件費等の経費に比べれば㌧でもないほどの) 安価 (もしくは無料) で頒布できるわけですねー (特定の企業・個人の為だけにソフトウェアを開発、ということになれば千万とか億とかの単位の金がフツーに動いたりする世界、そういう世界ならばアフターサービスも契約次第では万全、というわけですやんね)。しかも最近は民生向けであっても Web アプリという形で完全にサービス然とした状態で公開し、会費や広告費で稼ぐスタイルが定着しつつあるから、ますます製造物としては不適切な領域であることが分かりやすくなって来てますねー。いいことだw

尤も、ROM チップとかの組み込み系は別だと言われている。但しそれが組み込まれている製品の生産者と、組み込みソフトウェアの開発元が別会社ならば、製造物責任が問われるのはあくまで生産者の方で、組み込みソフトウェア開発元はあくまで (依頼主である製品生産者との間で) 取り交わされた契約に基づく賠償責任のみを負うことになる (ハズ)。

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